ホバートからダーウィンまで自転車5000キロの旅

2014-11-13

3月にワーキング・ホリデーでタスマニアのホバートに渡ったTさんが帰国して報告に来てくれた。彼は元十両のお相撲さんでしたが怪我をして引退した後、今後の人生を考えたく一発奮起してオーストラリアに渡りました。出発前は日本に帰らず、オーストラリアで働く事も考えたいとの事でしたが、自分の進むべき道を決めて半年間で帰国しました。

彼は学校で知り合った関西の男性に誘われてホバートからダーウィンまでの5000キロの自転車の旅に出ることに決めました。10万円の自転車とテントと寝袋を買って、本当に砂漠を走れるか2人でホバートにあるウェリントン山[標高1270m]をノンストップで登ったりの準備をしてから、デボンポートまでアップダウンの道を走ってタスマニアを縦断しました。そこから、3万円の大金を払ってスピリットオブタスマニアという船でメルボルンに渡りました。メルボルンやアデレードの大都市には立派なサイクリングロードが併設されていて快適な走行が出来たとの事。今は、東京にも増えているけど、まだまだ オーストラリアの方が進んでいるようです。メルボルンでは、バックパッカーズに宿泊していたのですが、途中からキャラバンパークに変更したとのこと。理由は、清潔で安いし(自転車は6~12ドル)しかも宿泊している人達がオージーのファミリーが多く、BBQやビールを何回もご馳走になって交流が出来たからとのこと。確かに、バックパッカーズは同じような旅人しかいないのでご馳走は期待できませんね。

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思い出に残る場所はスチュワートハイフェイの途中の街、クーパービディ。オパールの産地ですが、穴だらけの砂漠の街は、まるで他の惑星にでも来たような雰囲気だったとのこと。

彼らは旅の途中で沢山の出会いがあり、助けて貰ったり、刺激を与えられたり、色んな体験をした。

クーパービディーからアリススプリングスの間は300キロ以上もガソリンスタンドがなく、2人は水の補給が出来ずに、もうどうにも我慢出来ずに、レストエリアのタンクの水(飲み水ではありません)を飲んでいる時に、通りかかったオージー達が、この水は絶対飲んでは駄目だよと、3リットルの水とミカンとピーナッツと一房のバナナをくれたとのこと。

キャンピングカーで1人旅していたアメリカ人は、レストエリア等にある空き缶や瓶を拾い、お金に換えてガソリン代の足にして旅をしていたとのこと。彼とは各レストエリアでよく会って、その度毎にペプシコーラなどをご馳走してくれたとのこと。

また、キャンピングカーで旅していた5人のヒッピー達とも何度か遭遇して、ジョンレノンや山本キッズなどのキャラに似た面白い連中で、レストエリアで夜など焚火をしていて、パン屋やコーヒーなどを良くご馳走してくれたとのこと。オーストラリアの政治や社会のことなど、色々な話をしてくれたようです。

68歳のドイツ人の老人は、もとサッカーのプロ選手で、その後自転車に転向して、65歳を過ぎた時に自分の力を再確認したく、一人でスチュワートハイウェイを自転車で走って旅をしていたとのこと。

また、一度だけ怖い目にもあっている。レストルームでキャンプをしている時に、酔っぱらったアボリジニ3人が来て、喧嘩を初めて助けを求められた。そのうち火を付けて、ブッシュファイヤーにまでなり、幸いなことに草があまりはえていなかったので、火は消えたが、生きた心地はしなかったとのこと。

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エアーズロックで友人と合流する為に2週間ほど、待ちぼうけをくらい、ユララリゾートのキャラバンパークは1泊30ドル以上もした為に、25キロ程離れたブッシュの木の下でキャンプをしていたとのこと。2週間のブッシュでのキャンプは何もする事が無くテント見張りと買い物と二班に分かれてテント見張りの時は、友人が持っていた世界史と日本史の本を読んでいたとのこと。そして、夜には満天の星空を眺めていたとのこと。エアーズロックを遠くに眺めながら、まるでアボリジニの昔の生活を体験していたのかもしれない。何とも羨ましい話であった。

IMG_1668 キャンプの様子

毎日ひたすら8時間近く走り続け、2時間走って15分間の休憩で、ほとんど何も考えずに、小石を踏まないように、車道には出ないようにを気を付けていたらしい。そのお陰で5000キロ走ってパンクは一度もしなかったとのこと。ソニーデビルというトゲトゲの大トカゲは良く遭遇したとのこと。日の出と共に出発して午前10時半までは無風状態だったので、距離を稼いだとのこと。後半は暑さが厳しく、夜中に走って日中の午後は、何も出来ずにダラーとしていたらしい。オーストラリアの風が何とも気持ちが良かったと笑顔で話してくれた。

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僕は何度もオーストラリアを旅しているけど、彼みたいな旅をした経験がない。話を聞いていて、彼の旅の様子が目に浮かんできて羨ましくなった。そして、日本の若者達にも彼の様な旅をしてもらいたいとしみじみと思った。彼は警察官になる事を決めて今は、バイトをしながら試験勉強に励んでいる。日本の警察官は休みが取れないという話を聞くが、今回の彼の半年間のオーストラリアの旅は、彼の人生における素晴らしい宝になったことだと思う。ホバートからダーウィンまでの3カ月間、5000キロの自転車の旅。元気が出る話を聞かせて頂きました。T君、ありがとう。